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大学ごっこをやめなさい

  学問の場である大学  人材育成のための学校

 

  高等教育は少数精鋭で―A型とP型

 学問をするために大学に進むA(academic)型の学生は少ない。少ないが、これが本来の学生である。

 アカデミーの語源はプラトンのアカデメイアであり、その門には「幾何学ができない者は入るべからず」と書かれている。大学が大衆化したとはいえ、論理的思考力に欠ける者が大学に進むのは不健全である。数学なし受験組は要らない。A組は各学年1万人くらいである。それ以外は社会を支える人材として教育するべきである。

 P(professional)型は社会を牽引する高度人材候補である。

 フランスではアカデミックな大学(université)とは別に実践的なグランゼコール(Grandes Écoles=職業訓練大学校)がある。政官エリートはパリ政治学院(シアンスポ)から国立行政学院(ENA)に進む。大企業の幹部はエコール・ポリテクニーク(X=イクス)、ENA、HECパリ出身者が多い。

 大学の3割を日本版グランゼコールに改変し、高度人材を育成するべきである。ノウハウなら伊藤塾やTACがもっている。ENAのことなら片山さつき(参議院議員)に聞けばよい。

 逃げるは恥で役立たない―C型

 学問をするわけでもなく、就職に有利になるわけでもない学生はC(customer)型である。本人も社会も得をしない。

 数学なし受験組が有名大学に入っても、就職の時はSPIや数的処理から逃げられない。であれば、入学の時に数学を課すのが良心的というものである。微分積分を習っていない人には「SPI」「公務員試験の数的処理」「中学受験の算数」に類する試験を課せばよい。「逃亡不可」という観点からも、「作問の容易さ」という観点からも、「SPIがあるじゃないか」と言いたい。

 C型学生には簿記2級取得などを支援し、社会に役立つ人材として育成した方がよい。大学の6割を専門学校に改変するべきである。とは言え、今のC型学生は大学教員の雇用対策として機能している。改革には30年かかる。

 受益者負担vs学費無料

 A型学生が大学で研究すること、P型学生がグランゼコールで学ぶこと、C型学生が専門学校で学ぶこと―はいずれ社会に還元される。つまり、主たる受益者は学生本人ではなく社会である。したがって、学費はすべて税金でまかなうべきである。

 一方、C型学生が学歴欲しさに進学する場合や個人の知的好奇心を満たすために学ぶ場合、学費の全額を自分で払うべきである。 '受益者負担' でよい。

    生涯教育の拠点

 学問をするわけでもなく、就職に有利になるわけでもないようなC型学生を高等教育に進まずに就職するべきである。その分、自分らしく生きるために学ぶ人を支援しよう。意欲的な人がいつでも戻れるように準備を進めよう。大学を生涯教育の拠点に変えれば学生は減らない。

 意欲はあったが、さまざまな事情で進学を諦めていた人がいる。若い頃は勉強の価値がわからなかったが、あとでわかった人もいる。そのような人に広く門戸を開くべきである。

 Man is mortal. 人は誰でも年を取って死ぬ。だが、年を取る前に '目標' や '楽しみ' をおける人は若者である。学習意欲と学習機会が合致した時、人はまた輝く。今は高齢化社会である。「60の手習い」はすでに「80の手習い」であり、いずれは「100の手習い」となる。大学を「100歳の若者が集まる場」に変えよう。欽ちゃん(萩本欣一)は73歳で大学に入った。実例ならたくさんある。

 生涯教育は '受益者負担' でよい。税金からお金を出す必要はまったくない。学費は、自らの労働で得た賃金から払えばよい。実は、その労働こそが本当の勉強である。

  教育を変え 日本を変える

                                 ―30年プロジェクト―

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